名器
アントニオ・ストラディヴァリが1719年に製作したヴィオラ、『マクドナルド (the Macdonald)』がこの春、ロンドンのIngles&HaydayによってSotheby'sを介してオークションにかけられます。
『知っているようで知らない名器の逸話』*1でも取り上げたカルロ・トノーニのヴァイオリン (Carlo Tononi 1723) 。再びじっくりと調べる機会に先日恵まれましたので、その際に撮った写真をいくつか紹介します。 *1:弦楽専門誌『ストリング』2012年7月号
アントニオ・ストラディヴァリによって1715年に製作された『リピンスキー ("ex-Lipinsky")』 が先日盗難にあったのは国内でもニュースになり、ご存知の方も多いでしょう。
『知っているようで知らない名器の逸話』でも取り上げた名器、グァルネリ・デル・ジェス1741年作『ヴュータン』("Vieuxtemps")が昨年末に売れたそうです。売りに出されたのは2010年のことなので、随分時間がかかった気がしないでもないですが。
弦楽専門誌『ストリング』でコラムの連載を始めてから、早くも二年経ちました。 これを機会に過去の連載で取り上げたヴァイオリン製作者/楽器の一覧をここに載せておくことにしました。興味を惹く記事が見つかりましたら、ぜひ、バックナンバーを取り寄せて…
アンドレア・グァルネリ1676年作「Conte Vitale(コンテ・ヴィタレ)」 -これ抜きでヴィオラを語ることはできないであろう一品。現在作られる新作のモデルになることが多く、丸々としながらも不恰好ではないその作りはヴィオラという一種特殊な楽器に適している…
フランチェスコ・ルジェリ 1695年作チェロ‐まだ名無しの楽器だが、名器であることに変わりない。ボディがオリジナルの状態から縮小されているがその美しさに影響していない。Stradのチェロが砂時計型なのに対して彼のものは丸々としてふくよか。思わず抱きし…
ストラディヴァリ1712年作「Davidov(ダヴィドフ)」−Forma Bと呼ばれる型で作られたチェロ。ジャクリーヌ・デュ・プレに愛用され、現在はヨーヨー・マが使用。アーチがかなり歪んでしまっているのが残念だが、均整のとれた形、そして鮮烈なニスが見る者の心…
グァルネリ・デル・ジェス1742年作「Lord Wilton(ロード・ウィルトン)」−良いバイオリンというのは緻密に作られたものだと思っている人に見て欲しい一品。「左右対称?なんだそりゃ?」とでも言いたげな表情をしている。男性的な逞しさと女性的な美しさが共…
ニコロ・アマティ1649年作Alard(アラード)−彼の作品の中では小振りのバイオリン。輪郭、アーチ、パーフリングなど、あらゆる面で「優雅」という言葉そのものを楽器にしたような印象がある。幾何学的な完成度と言う点でこのバイオリンを超えるものは無いので…
カルロ・ベルゴンツィc1732年作「Perkin(パーキン)」伝統に根付いた新しさとはどのようなものかを教えてくれるバイオリン。ラインの流れ、アーチの美しさは秀逸。ストラド、デル・ジェス、ルジェリの良さを絶妙にブレンドしながらも彼独自の方向性を…
アンドレア・アマティc1566年作「Tullie House(タリーハウス)」−バイオリンの始祖といっても過言ではない彼がフランス王Charles IVに作った小ぶりのバイオリン。シンプルだがとても洗練されているまさに完成された楽器。ストラドの、デル・ジェスの原点。…
グァルネリ・デル・ジェス1743年作「the Cannon(キャノン)」−パガニーニが愛用していたバイオリン。彼が使用していた状態で残されている。デル・ジェスといえあばこの楽器、という人が多い。表裏ともに板厚がかなりあり、その力強いアーチも特徴的。ジェノ…
ストラディヴァリ作1716年製“Messiah(メサイア)”−保存状態が異常に良い、その道の人で知らない人はいないヴァイオリン。今から10年ほど前に「実はニセモノ」といちゃもんをつけられたが、実際に見てみるとなんてことはない典型的なStrad。アシュモリアン博物…