ヴァイオリン製作 あれ・これ

弦楽専門誌『ストリング』に「知っているようで知らない名器の逸話」を連載していたヴァイオリン製作家、木村哲也がヴァイオリンについていろいろお話しします。ホームページは www.atelierkimura.com

グァルネリ・デル・ジェス『ヴュータン("Vieuxtemps")』が売れたそうです

『知っているようで知らない名器の逸話』でも取り上げた名器、グァルネリ・デル・ジェス1741年作『ヴュータン』("Vieuxtemps")が昨年末に売れたそうです。売りに出されたのは2010年のことなので、随分時間がかかった気がしないでもないですが。

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最初はシカゴのディーラー、Bein&Fushiが取り扱っていたのですが、結局売れたのはロンドンのJ&A Beareを介して、とのことです。

気になるお値段ですが、Bein&Fushiが売りに出していた際には$18,000,000(約16億円)の値札が付いていました。この値段で売れたとはかぎりませんが、具体的な数字をJ&A Beareは公開していません。ただし、話によると、2011年に£9,808,000 ($15,894,000, 約12億円)で落札されたストラディヴァリ『レディ・ブラント』("Lady Blunt")よりも高い値で売却されたことは確かだそうです。

購入したのが誰なのかも非公開ですが、ソリスト、アン・アキコ・マイヤース(Anne Akiko Meyers)に貸し出されるとのこと。彼女が『ヴュータン』について語る動画が演奏付きでYoutubeにアップされています。


'Vieuxtemps' Guarneri Del Gesu Returns To The Concert Stage...

でも、マイヤースって他にもストラディヴァリを2棹所有しているんですよね。

しかも、そのうち1697年作『モリター』(”Molitor")は2010年にTarisioで$3,600,000(約3億2000万円)で購入したもの。レディ・ブラントが売れるまで、オークションで落札された楽器では史上最高額を保持していました。

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