ヴァイオリン製作 あれ・これ

弦楽専門誌『ストリング』に「知っているようで知らない名器の逸話」を連載していたヴァイオリン製作家、木村哲也がヴァイオリンについていろいろお話しします。ホームページは www.atelierkimura.com

製作

失われたバイオリンデザイン

新しいモデルのバイオリンにとりかかる際には、まず適切なモデルを過去に作られた楽器、大半の場合ストラディヴァリやグァルネリといった有名な名器、から選択し、その輪郭を写すという作業から始まります。そして、写した輪郭を修整し、それをもとに製作の…

カルロ・トノーニ 1723年作 ヴァイオリン

『知っているようで知らない名器の逸話』*1でも取り上げたカルロ・トノーニのヴァイオリン (Carlo Tononi 1723) 。再びじっくりと調べる機会に先日恵まれましたので、その際に撮った写真をいくつか紹介します。 *1:弦楽専門誌『ストリング』2012年7月号

ニスの話 Part 4. 〜ニスの塗り方

私がニスを塗るのは通常1層か2層、多くても3層までだと言うと、驚く人が意外にたくさんいます。私が使うようなオイルニスに比べて非常に薄いアルコールニスを使用する職人が国内には多いため、ニスというものは何十層にも重ねて仕上げるというイメージが浸透…

リブの切り出し、厚みだし

ヴァイオリン製作の工程の一つである、リブ(側板)の切り出しと厚みだしを動画にしました。 ヴァイオリン製作 リブの切り出し、厚みだし

ニスの話 Part 3.  〜バルサムを使ったニスの作り方

前回の「ニスの話」では、マルチャーナ・ニスの作り方を説明しました。マルチャーナ・ニスはオイルニスの基本といえるもので、調合する樹脂の割合や種類、又は調理の仕方を変えることによって様々な特性を持ったニスを作ることが出来ます。今回は、バルサム*…

ニスの話 Part 2.  〜マルチャーナ・ニスの作り方

私の工房では、修理やアンティーク仕上げの過程でリタッチ*1する際にはアルコールニスを用いますが、製作では基本的にオイルニスを使用します。 「ニスのレシピ、特にオイルニスの作り方は他人には絶対教えない」 という方もみえるようですが、私は教えてほ…

ワークベンチ、又の名を作業台

私が最も頻繁に使用する道具は何だと思いますか? ワークベンチ、作業台です。 台も道具の一つ。特にヴァイオリンを作るとなると必要不可欠な道具といえます。 作業の基盤となる台の表面には、様々な傷やニスの染みがついており、年季の入った顔をしています…

コピー製作 Part 1. 〜輪郭を写す

「コピー」または「レプリカ」と一概に言っても、いろいろ種類があり、その製作方法も様々です。ここでは、オリジナルとなるヴァイオリンから輪郭をテンプレート*1にする手順を紹介します。 これは、あくまでも「こんなふうにやるんだよ」という紹介にすぎま…

Giussepe Guarneri filius Andrea のコピー : スクロールと下地のお話し

現在、ジュゼッペ・グァルネリ・フィリウス・アンドレアのコピーであるチェロを仕上げています。 今回は下地処理を施したスクロールをお見せします。着色したニスを塗り始める直前の状態です。

接ぎネック

下の画像を見てください。 なんか気持ち悪いですね。これはデンタル・コンパウンドと呼ばれるもので、もともとは歯の型をとるのに使われるものです。写真はそれを少し熱めのお湯(指を入れられる限界位)に浸して柔らかくしているところです。その右に置いて…