ヴァイオリン製作 あれ・これ

弦楽専門誌『ストリング』に「知っているようで知らない名器の逸話」を連載していたヴァイオリン製作家、木村哲也がヴァイオリンについていろいろお話しします。ホームページは www.atelierkimura.com

みささバイオリンワークショップ

鳥取県三朝町にある、みささ美術館においてバイオリン職人が集まるワークショップが3月23日〜26日の4日間にかけて開催されます。

国内初の試みとなるこのワークショップ。海外からも講師を招きセミナーを開催するだけではなく、「誰もが教え、誰もが習う」をモットーに参加者同士も自由に意見と技術を積極的に交換。よりオープンで健康的なバイオリン業界を共に作りあげていこうという試みです。 

今回のワークショップは製作ワークショップにはフランスのバイオリン製作家フランソワ・ドゥニ(François Denis)、修復ワークショップにはアメリカの修復家ジェリー・パセヴィッチ(Jerry Pasewicz)に来日していただきます。

 

フランソワ・ドゥニ (François Denis)

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フランスのアンジェで活動している製作家、フランソワ・ドゥニ(François Denis)は1983年に楽器製作を始め、1988年からヴァイオリンを作っています。ドゥニの作るヴァイオリンはフランス国内だけではなく世界中で評価されていますが、彼はヴァイオリンデザインの研究の第一人者でもあります。彼の長年に亘る研究成果は集大成となる本、『Traité de Lutherie (トレテ・ドゥ・リュトリ) 』として2006年に発表され、現在ではヴァイオリンのデザインを勉強するためのバイブルとなっています。一流の講師としても著名なドゥニ。彼のレクチャーによって新境地を開くことができた製作家は数えきれません。近年のヴァイオリン業界に多大な影響を与えた人物の一人だといえるでしょう。

講習テーマ:失われたバイオリンデザイン

     第一部 『ストラディヴァリのフォルム』
           バイオリンデザインの歴史的背景と考察
     第二部 『アマティからストラディヴァリへ』
           ドゥニ氏による実践デモンストレーション。
           解説を交えながらバイオリンデザインを実施

 

ジェリー・パセヴィッチ(Jerry Pasewicz)

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1978年にヴァイオリン製作を始めたジェリー・パセヴィッチ (Jerry Pasewicz) は、SharやJacques Français Rare Violinsを始めとする数々の弦楽器専門店にて楽器本体および弓の高度な修復技術を習得しました。1998年にノースカロライナ州の都市ローリーで自らの工房を設立して以来、彼のレストレーションは高く評価され、現在、アメリカで最も信頼されている修復家の一人となっています。ジェリー・パセヴィッチは、弦楽器業界の情報、技術交換にも積極的に関わっており、Oberlinで毎年開催されるレストレーションおよびセットアップのワークショップの責任者の一人でもあります。また、北米のヴァイオリン業界を支える役目を果たしている2つの協会『American Federation of Violin and Bow Makers』と『Violin Society of America』では過去に理事長および副理事長として活躍し、後者が開催する製作コンクールでは議長も務めています。

講習テーマ:バイオリン修復の現在

  第一部 『バイオリン修復のあり方』
       現在のバイオリン修復の基本概念の説明
  第二部 『修復技術の最先端』
       最新の技術とアイディアを取り入れた修復技術の解説および実演

ワークショップの詳細、募集要項などは公式ホームページからどうぞ。


定員が25人と限られています。興味があるかたはお早めに。

実行委員である私ももちろん参加します。ニスやアンティーク処理、レプリカ製作全般についてもオープンな姿勢でシェアします。

フランソワ・ドゥニについてはこちらでも触れています。


失われたバイオリンデザイン - ヴァイオリン製作 あれ・これ