フランチェスコ・ルジェリ 1695年作チェロ‐まだ名無しの楽器だが、名器であることに変わりない。ボディがオリジナルの状態から縮小されているがその美しさに影響していない。Stradのチェロが砂時計型なのに対して彼のものは丸々としてふくよか。思わず抱きし…
鑑定書やオークションで使われるAttribution(アトリビューション、由来)はすこしややこしいので気をつける必要があります。下に例をあげます。これらはあくまでも鑑定書、オークションカタログを発行した人の「意見」だということを覚えておくべきでしょう。…
ストラディヴァリ1712年作「Davidov(ダヴィドフ)」−Forma Bと呼ばれる型で作られたチェロ。ジャクリーヌ・デュ・プレに愛用され、現在はヨーヨー・マが使用。アーチがかなり歪んでしまっているのが残念だが、均整のとれた形、そして鮮烈なニスが見る者の心…
グァルネリ・デル・ジェス1742年作「Lord Wilton(ロード・ウィルトン)」−良いバイオリンというのは緻密に作られたものだと思っている人に見て欲しい一品。「左右対称?なんだそりゃ?」とでも言いたげな表情をしている。男性的な逞しさと女性的な美しさが共…
下の画像を見てください。 なんか気持ち悪いですね。これはデンタル・コンパウンドと呼ばれるもので、もともとは歯の型をとるのに使われるものです。写真はそれを少し熱めのお湯(指を入れられる限界位)に浸して柔らかくしているところです。その右に置いて…
ヴァイオリンの性能を判別するときに必ずといって良いほど登場する言葉に「弾きやすさ」があります。では、いったいどのような要素が「弾きやすさ」に関係しているのでしょうか? 1.指板を含めたネック、ノットなどの形状、寸法からなる「弾きやすさ」 こ…
ニコロ・アマティ1649年作Alard(アラード)−彼の作品の中では小振りのバイオリン。輪郭、アーチ、パーフリングなど、あらゆる面で「優雅」という言葉そのものを楽器にしたような印象がある。幾何学的な完成度と言う点でこのバイオリンを超えるものは無いので…
カルロ・ベルゴンツィc1732年作「Perkin(パーキン)」伝統に根付いた新しさとはどのようなものかを教えてくれるバイオリン。ラインの流れ、アーチの美しさは秀逸。ストラド、デル・ジェス、ルジェリの良さを絶妙にブレンドしながらも彼独自の方向性を…
−なぜヴァイオリン製作家になったんですか? −なるべくしてなりました 先日お話したように、大橋ピアノ研究所を訪れたことで、楽器作りへの道を進むことに決めた私ですが、それならなぜピアノを作っていないんだという疑問を持たれる方がみえると思います。…
アンドレア・アマティc1566年作「Tullie House(タリーハウス)」−バイオリンの始祖といっても過言ではない彼がフランス王Charles IVに作った小ぶりのバイオリン。シンプルだがとても洗練されているまさに完成された楽器。ストラドの、デル・ジェスの原点。…
グァルネリ・デル・ジェス1743年作「the Cannon(キャノン)」−パガニーニが愛用していたバイオリン。彼が使用していた状態で残されている。デル・ジェスといえあばこの楽器、という人が多い。表裏ともに板厚がかなりあり、その力強いアーチも特徴的。ジェノ…
ストラディヴァリ作1716年製“Messiah(メサイア)”−保存状態が異常に良い、その道の人で知らない人はいないヴァイオリン。今から10年ほど前に「実はニセモノ」といちゃもんをつけられたが、実際に見てみるとなんてことはない典型的なStrad。アシュモリアン博物…
現在、弦楽器製作家として活動している私ですが、もともとはピアノを幼いころから習っていました。そんな中、いつのまにか、興味の対象が演奏技術から楽器本体へと移っていきました。家にあったピアノ自体はなんてことのない、某K社のアップライトだったので…
はじめまして。岐阜県不破郡垂井町でヴァイオリン製作・研究家として活動しています木村哲也です。ヴァイオリン製作家と聞いて、毎日工房に篭って楽器を黙々と作っている職人肌の人を思い浮かべる人が多いかもしれません。でも、本当はもっともっといろいろ…