ヴァイオリン製作 あれ・これ

弦楽専門誌『ストリング』に「知っているようで知らない名器の逸話」を連載していたヴァイオリン製作家、木村哲也がヴァイオリンについていろいろお話しします。ホームページは www.atelierkimura.com

Guarneri del Gesù 1738『Kemp』のコピー

 グァルネリ・デル・ジェス『Kemp (ケンプ) 』のコピーが完成しました。

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 パガニーニの演奏を聴いて彼の愛器『Cannon (キャノン) 』の音色にいたく感銘をうけたナポレオン・ボナパルト。副官ジャン・オーガスティン・アーノ(Jean Augustin Ernouf)のために、パガニーニ『Cannon』と似たようなヴァイオリンを探しだすように命じます。
 そして、パガニーニが見つけてきたのが現在『Kemp』として知られる1738年製のグァルネリ・デル・ジェスです。

 『Cannon』と『Kemp』の外見を比べると「似ている」という印象は受けません。ただし、板の厚みを見てみるとどちらの楽器も裏板の厚いところで6.0mm以上あります。パガニーニは外見よりも弾いたときの感触を重視していたのでしょう。

 

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